なんか生きてくしかないらしいぜ

けれどもそれでも、業が深くて、 なほもながらふことともなつたら、

生き方のはなしかも知れない

 たぶん、世代の所為もあるんだろうけれど。

 就職活動をするにあたって、よく学校の先生に相談をする。この進路で行きたいんですけれどこれからどうすればいいですかとか、志望動機どうやって書けばいいですかねとか、わたしやっていけますかね不安なんですけどとか、相談というよりは弱音を吐きに行くこともある。学校の先生はいままで何十年と他人の進路について考えてその経過を見てきた人であり、また自身も就職して労働して転職して収入を得てきた経緯があって、その過程で得た知識や経験則なんかを話してくれる。多分もう50代くらいの先生だ。だから考えが古いといえばそうなのかもしれない。就職以外の話でも、言葉の端々にそういう考えが垣間見える。

 オンナノコは転職しても良いのよ、と先生はいう。人それぞれだと思うけどね、だけど私はここに来るまでたくさん転職をして来たしその経験はとても良かったと思ってる。オンナノコはね、出産のときに辞めるかも知れないし、子育ての間は子どもの傍に居たいと思うかも知れないし、旦那さんが転勤するかも知れないし、だから同じ職をずっとするっていうのは難しいかもね。ううんそうじゃなくても、嫌だと思ったら辞めていいのよ。嫌だなと思いながら自分に合わないところで働く意味なんてないからね。それはオトコノコだってそうよ。ああでも、オトコノコは家族のために働かなきゃならないから、あんまり転職転職ってされても困るかもね。そのあたりは男女で違うところだよね。

 私はそれを、いつも話半分に聞く。先生はこういう考えなのかと、思想のひとつとして聞く。窮屈だなあと密かに思いながら。私のまわりにはいろんな人がいて、いろんな働き方があって、それぞれが自由にしていて、そこには男も女も関係ない。ただその人がやりたいように、嫌だと思ったら辞めて、無理だと思ったら辞めて、続けたいと思ったら続けて、ここで働きたいと思えたら働く、そんな人たちの姿がある。きっとそこには私の知らない葛藤や苦しみや喜びや楽しみがあるんだろうけれど、私に見えているものも見えていないものもあるんだろうけれど、とにかくそうやって生活をしている人がいる。

 私はそんな大人たちの生き方を見ているととても安心する。何歳になっても人生を楽しんでいいし、何歳になっても遊びを忘れなくていいし、好きな働き方をすればいいんだと私に教えてくれる。一度入った会社に40年間勤め続ける「必要」はないんだと分からせてくれる。

 男だからこう働く、女だからこう働く、一度入った会社はずっと勤め続けるべき。そういう考えは持ちたくないなあと、私はいつだって私のために私の意思で働いていたいなあと、そう思う。