なんか生きてくしかないらしいぜ

けれどもそれでも、業が深くて、 なほもながらふことともなつたら、

新卒一年目、休職中の傷病手当。

 

 新卒で入った会社を8ヶ月で休職し12ヶ月で退職した。

 前回の記事では休職制度と退職までの経緯を述べた。今回は、休職中、また退職した現在でも利用している、傷病手当金制度について述べていく。あくまで個人の経験でしかないので個別のケースへの適用は難しいと思うが、自分のための状況の整理と、誰かの参考になればと思う。お守りのように、ざっくりした知識を頭の隅に入れておくのも勇気になるかもしれない。

 

 まず、傷病手当金制度について。これは健康保険法に定められているもので、会社員、公務員、船員など、健康保険に加入している人向けの制度である。ようは自営業者や農家が加入する国民健康保険ではなく、会社経由で渡される保険証を所有している人が利用できるものだ。

 正式な条文などは小難しいので割愛する。全国健康保険協会のページなどググれば簡単に出てくるので気になる方はそちらへ。

 ようは病気やケガで働けず、給料の発生していない日が連続3日以上ある人に対して、4日目から最長1年6ヶ月間、標準報酬日額の3分の2が支給される、「働けなくて給料出ない? これ少ないけど生活費の足しにしてね」という制度である。

 

 私の場合はまず一週間の休職となり、その後さらにひと月、そしてふた月、と休職期間が伸びていった。有給が10日残っていたので、まずはそれが当てられた。週休二日なのでそれを引いて、最初の2週間は有給が消化された形となる。その後3日間の待機期間を経て、4日目からが支給の対象となった。

 支給される金額については、人それぞれ、本来もらっていた給料の額によって異なる。大体月にもらう額面(手取りではない)の3分の2と思えばいいと思う。支給は日割りなので、2週間の支給期間だとさらに半分になると思っていい。私の場合は、住宅手当含め額面が20万少しで、傷病手当の支給額は月に13万くらいになった。

 ここで大事なのが「額面である」ということである。つまり保険料諸々が引かれる前の金額がそれである。健康保険などに加入している限り、この金は払わなければならない。私の場合は休職中、会社からの給与明細がマイナスで通知された。保険料諸々を払えということである。毎月会社に行き、保険料諸々を総務に現金にて払った。月々額面から引かれていた金額と同等と思っていい。いつもより少し少なかったような気もするが、まあそれくらい確保しておくと安心である。

 

 請求は、会社の総務を通じて行った。これも全国健康保険協会をググれば様式をPDFでダウンロードできるので欲しい人はそちらを。私の場合はご丁寧に毎月総務から用紙が送られてきた。申請書は4枚でワンセットとなる。

 

①被保険者記入用。

 自分が書く用紙その1である。被保険者証の情報と、傷病手当金を振り込んで欲しい口座の情報を記載する。

②被保険者記入用。

 自分が書く用紙その2である。傷病名やそのために仕事を休んだ期間、障害年金や老齢年金、労災などから給付を受けているか否かの確認の用紙だ。傷病名は後述する診断書に書かれているものをそのまま引っ張ってくればいい。仕事を休んだ期間は、私は分からなかったので未記入のまま会社に送りつけた。おそらく総務が補足してくれただろう。

③事業主記入用。

 会社に書いてもらう用紙である。勤務状況や、出勤していれば本来支払われていた給料の額などを記入するものとなっている。自分で書くところはないので、未記入のままほかの用紙と一緒に会社に送りつけたらいい。

④療養担当者記入用。

 これは会社を休んでいる理由となっている傷病へ治療を行ってくれている医師にお願いする。用紙を病院に持っていけばいい。私の行っている心療内科では、受付ではなく診察の際に直接医師に渡して、大体その日の医療費支払いのときに返してくれる。このあたりは病院によって違うと思うので聞いてみて欲しい。

 先述した被保険者記入用その2で記載しなければならない傷病名や発病時の状況などは、ここから適宜引用すれば書きやすいかと思う。

 ちなみに医師に書いてもらう書類というと高額なイメージがあるが、これは保険がきく。「傷病手当金意見書交付料」という医学管理のなかのひとつで、100点、つまり10割負担で1000円である。3割負担で300円、1割負担だと100円である。安い。

 

 会社に所属しているうちは、上記4枚をセットにして会社の担当部署に郵送なり持ち込みなりして届ければいい。会社のほうで事業主記入用を記入してくれて、全国健康保険協会への申請までしてくれるはずである。

 給付は、会社が全国健康保険協会へ申請してから大体2週間ほどで行われる。給付の知らせは、大体振り込まれたあとに全国健康保険協会から自宅にハガキが送られる。そこに支給期間、対象日数、金額など書いてある。

 労務不能で会社を休んだことについての証明という性質上、未来の日付を書くことはできない。事後申請となる。特に毎月申請しなければならない決まりはないものの、だいたいひと月に一度のペースで会社から催促が来た。退職した現在では、面倒なのでふた月に一度のペースで申請している。

 

 繰り返すがあくまで一個人の経験に過ぎない。正直、私のいた会社の総務はかなり丁寧なほうだったと思う。こちらが言うまでもなく申請書とその説明をくれた。会社によってはこちらから言わなければならないかもしれない。遠慮なく送りつけよう。全国健康保険協会の各支部に問い合わせたら丁寧な返答をいただけたので、そちらに聞いてみるのもいい。

 前回の記事で、12ヶ月きっかりで会社を辞めたことは傷病手当金受給において重要なことであると書いたかと思う。次回は退職後の傷病手当金制度について述べていく。

 

 この制度、国民健康保険加入者だと利用できないんですよね。余裕営業で会社員以上の収入が確保できるわけじゃない限り、雇われていたほうが制度諸々得が多いなーと感じます。個人的な意見ですが。あー正社員で雇われてえ。ていうか働きてえ。働けねえ。生存戦略。意地汚くでも生きていこうな。